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言葉の使い方

日経コンピュータの名物コラム『木村岳史の極言暴論!』から。

少々刺激的な物言いが売りだが、内容は的を射ていているし、現状を少しでもよくしたいという思いが伝わってくる。第三者的な立場で遠巻きにものを言うタイプではない。

言葉の使いかたのはなし。ポイントは意味や背景を理解して使わないと思考が止まる、というもの。

読者の中には「それって単なる言葉の問題でしょ。大騒ぎするような話じゃない」と思う人がいるかもしれないが、それは大きな間違いだ。言葉は思考の道具であり、それゆえに思考を縛るわなにもなる。IT業界に氾濫するカタカナ英語を使いまくってシステムを企画した結果、とんでもないトホホなシステムを作ってしまう例が日本では多発している。そう、最大の元凶はまさに「システム」というカタカナ英語だ。

「自社の業務を分かる技術者になれ」とあれほど言われているにもかかわらず、情報システムのお守り役で満足している技術者も罪が重い。技術者がSEならば情報システムの範囲にとどまらず、企業というシステム全体をエンジニアリングできるぐらいの存在になるべきだ。つまり企業というシステムの変革に取り組む経営者の参謀だ。CIOとは本来、そういう技術者が就くべき役職である。

 

DXについは、奇しくもこれまでの私の考えと一致していた。

企業がDXを推進するためには、何らかのイノベーションが必要なのは言うまでもない。そのためには企業というシステム(既にあるもの)を理解したうえで、新機軸(イノベーション)を打ち出していかなければならない。それなのにデジタル組織という閉鎖的な部署を作り、ゼロベースでAIを使ったPoC(概念実証)に取り組ませている日本企業がいかに多いことか。結果はおのずと明らかである。

たびたびDXの話にして恐縮だが、DXはデジタルを活用してビジネスモデルなど変革することだぞ。つまり企業というシステムに新たな「金もうけの仕組み(ビジネスモデル)」を組み込んでいくことだから、ビジネスモデルの理解があやしいと大変だ。

アーキテクチャーについても同様だ。企業というシステムのベースとなるデザイン、つまりアーキテクチャーを再検討しなければいけないから、本物のアーキテクトがいないと困る。そう言えば以前、エンタープライズアーキテクチャー(EA)なるものが流行し、大企業のIT部門は「EAが重要」などと息巻いていた。ただ今から思えば、EAとは企業というシステムのアーキテクチャーのことだと理解していたのは何人いたのだろうか。

また、別の記事ではこんなことをおっしゃっていた。

「日本企業は根回し文化に漬かっているため、結論を出すのに恐ろしく時間がかかる。だから変化が激しいデジタルの時代に対応できない」。これはよく語られる話だが、実はその先があるのを最近になって知った。次のように続く。「しかも時間をかけて出した結論がろくでもない」。

口の悪さはご自覚があるようでしたが(笑)、今回は少しシビアなトーンなのが心に響いた。

今回の「極言暴論」では、このテーマを論じようと思う。ただし、今までとは少し趣向を変えようと思う。いつもはSIerの駄目さ加減、あるいは悪行の数々をあげつらって、ボコボコにしていた。今回はそうではなく「このまま人月商売、ご用聞き商売を続けていては駄目だ」と考え行動しているSIerの改革派の幹部らに警告を発したい。

 

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