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DXに関する経営層と技術者との間にある意識のズレ

日経コンピュータ 2019年12月26日号の特集記事に『断絶のDX』があった。

2019年のIT流行語大賞があればDX(デジタルトランスフォーメーション)を推す人は多いだろう。ディスラプター(破壊者)の脅威が日に日に増し、デジタルを苦手としていた経営層がようやく目を向け始めた。経営層は具体的にどのようなDX施策を考え、IT人材はどんなスキルアップを目指しているのか。1400人のITエンジニアと100人の経営層に調査をした。その結果、見えてきたのは「断絶」である。経営層と現場のすれ違い、人材育成の遅れ、企業規模による格差。不都合な事実が次々と浮かび上がった。調査を基に日本企業におけるDXの問題点と、DX時代に求められるデジタル人材像を探る。

 

第2章では「育成遅れが遅れておりDX進まない。仕事の仕方が古いままなのも足かせになっている」とある。

 

企業のDXが進まない背景には、人材育成の後れがあるようだ。前例主義やウオーターフォール型など、古い仕事のやり方も足かせとなっている。やる気ある若手の活用と、改革を阻む「中堅」への対策が求められる。

疑問に思うのは、DXと仕事の進め方との関係性というポイント。ウォーターフォールは手法であり、効果的であれば積極的に活用すればいい。例えば、火消しプロジェクトはウォーターフォール型で危機状況を脱出することがとても有効である。あまりにも短絡的過ぎではなかろうか。これではますますバズワードを助長させてしまう。

また、「やる気のある若手の活用」という言い回しも気になる。昔から批判されている「女性活用」と同じ思考スタイルだ。「女性活躍」と言い換えても根本は変わらない。「若手に活躍の場を提供すること」が大事なことであって、「活用」という上から目線がある限り失敗するであろう。

加えて、「改革を阻む「中堅」への対策」とあるが、本来はマネジメントできていないマネジメント層の問題の方が大きい。

 

以下のような文章が続く。

経営層や管理職を対象としたDX実態調査の分析により、経営層は回答結果に正方向のバイアスをかけている恐れがあると分かった。

そこでITエンジニアを対象とした全国スキル調査の回答者から「経営層相当」を除き、「管理職相当」と「エキスパート・スペシャリスト職」、「一般社員」に絞って新たな母集団を作り、「現場」のDX推進の実態を探った。

まず新たな母集団に対して、DXの取り組みや意識について12種類の設問で聞いた「DX関連アンケート」について、「そう思う」「ある程度そう思う」と答えたポジティブな割合を調べた(無回答を除く)。すると、ポジティブな割合が4割前後に届かなかった設問は5つあった。

さて、ここでしっかりと考えたいのは、「どこに目を向けて仕事をしているのか」「何に着目して改革を進めたいのか」である。

調査してレポートすることがミッションである日経コンピュータ側にも大きく欠けている視点ではなかろうか。

多様性の時代。支配する(活用する)という思考がある限り、波には乗れない。これが、経営層とそれをサポートしているメディア(経営層はメインターゲットとなる読者なのでサポートしていることになる)の課題だと考える。

 

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