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『音楽の正体』 ドッペルドミナント

僕は高校時代にフュージョンを聞いて育った。ディミニッシュやオルタード、13thの響きを体で覚えたのもこの次期。
一方で、それ以前から気になっていたのは荒井由実、ユーミンだ。「翳りゆく部屋」は小学生だった頃だが、衝撃を受けた。それ以降、詩そのものよりも曲や編曲にずっと惹かれてきた。
その2つをつないでくれたのは『音楽の正体』で解説されている”ドッペルドミナント”による転調。音楽理論でいれば基本中の基本だが、この本が『学問のレベル』から『日常のレベル』に近づけてくれた。

(前略)そのドミナントを、もっともっと強調するにはどうしたらいいか? 一時的にドミナントの調へ転調してしまえばいいのである。ハ長調でいえばドミナントはソシレ、そのソシレが主和音になる調へ行くのだからト長調に転調すればよい。

『音楽の正体』 p65から引用

ドッペルドミナントは渋谷公園通りにおけるナンパの必勝パターン 「友達の友達」という関係、もし大変な奇遇で「親友の親友」だったらどうだろうか? 強力である。(中略)その強力な「親友の親友」関係、それが実はドッペルドミナントの持つ効果なのだ。

『音楽の正体』 p67から引用
それまで、なんとなく感覚的にやってきたことと、そしてバリエーションを広げようと少々無理をして理論を適用していたこととが、感覚的に一致できたのは、上記の文章を読んでからだ。なんとも単純だが、しかし、そんなものである。
これで、Ⅳ#を軸にしたアプローチ、例えばⅡ7やⅣ#ディミニッシュを活用したくなる理由が自分でもハッキリしたし、もっとうまく一時的な転調を活用できるような気がしてきた。無駄に音域を広げすぎることなくメロディーを作ることができるようになるし、歌う人が得意とする音域を活用してサビを組み立てることができる。
ささいな気づきと納得が、自分自身の音楽の世界を広げてくれると思っている。

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